【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第29章 零と過ごす2度目の夏 ☆
リラが怒っている理由がわからないこと自体に、リラの怒りをさらに買うこの構図。
非常にまずい。
そう思っていると、痺れを切らしたリラが寂しそうに呟いた。
「今日は、零と一緒にご飯食べてイチャイチャして、お祝いしたかったの。
…だけどもうあと30分しかないもん。」
「?何のお祝い?あと30分って、今日中?」
「何のお祝いって…やっぱりわかんないんだ…」
「ごめん…」
もしかして、僕は何か大事な記念日を忘れていたのか?
そう思いながら、一体何を忘れているんだと頭をフル回転して考える僕に、リラは早々に答えを提示する。
「…わたしだけなんだ…
付き合って1年記念日を、一緒にお祝いしたいって思うのは」
…ん???
僕の頭の中にある疑問が浮かんだ。
そうとは知らないリラは、またむすっとむくれてビーフシチューをかき混ぜる。
「付き合って一年記念日…?」
「そうだよ?!
だから零と一緒にご飯食べて、ぎゅーってしあいながら映画でも観て、そのあと2人でこの1年の思い出とか話しながらベッドで眠りたかった」
「うん…リラ…
一年記念日は、明日だけど…」
「………へ?」
僕の言葉にリラの動きはピタッと停止する。