【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第29章 零と過ごす2度目の夏 ☆
「リラ?突然怒ってどうした?
僕が何か気に障るようなことした?」
「いい。わたしが勝手に期待して、待ってただけだから。
シチュー温めるね」
いい。と言っておきながら、口調はものすごく怒っている。
何だ?何が気に障ったんだ??
乙女心は秋の空とよく言うが、本気で予測不能だ。
けれど、どうにか機嫌を直してもらおうと、僕はキッチンに立つリラの身体を後ろから抱きしめた。
「リラ?機嫌直して?」
「…零はどうせ、わたしのことそんなに好きじゃないんだ」
「えぇ??」
どうしてそうなるんだ…!
警察学校の入試よりも遥かに難しいこの問題。
もはや理解不能のリラの思考回路に、流石の僕も考察が捗らない。
「リラのこと物凄く好きなの、伝わってない?」
リラを後ろから抱きしめたまま、リラの頬にキスをしてそう言う僕に、リラは眉をハの字にしながら呟く、
「伝わってるけど…でもわたしは、記念日は大切にしたいの」
「??…何の話?」
「何の話って聞くこと自体がもうムカつくの!
やっぱりわたしばっかり零のこと好きなんだよ!」
そう言って僕を払い除けたリラは、またしょんぼりと下を向けながら、ビーフシチューを火にかけた。
どうしよう。
リラが今何を考えているのか、全く読めない。
どうしてこんなに怒ってる?
そんなにまずいこと言った覚えもない。