【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第29章 零と過ごす2度目の夏 ☆
「今は23時15分ですね」
腕時計を見ながら時間を伝えると、リラは半泣きになって下を向く。
「あと45分しかない…」
「え?何が?」
リラのあと45分の意味が分からずに首を傾げると、リラはがっかりしたような顔をした。
「何が?って…」
そして続けて何かを言おうとした時、リラの腹の虫が盛大に鳴る。
ぐるるるるるる
「…っ!!」
「ふ…またすごい音…」
初めて会った日、一緒に住むことになった時もこんな風にお腹を鳴らしていたな。
そう思うと可愛くて思わず笑みが溢れた。
リラはかあっと顔を赤くして、あの時みたいにバツが悪そうに目を逸らす。
「仕方ないじゃない。
夜ご飯、食べてないんだから」
「え?先に食べてて良かったのに」
「…零と一緒に食べたかったから…」
「?どうして?」
先に食べててくれて良かったのに。
そう言わんばかりの僕の態度が、何故かリラの気に障ったらしい。
リラはむすっと顔を膨らましたあと、つーんとそっぽを向いた。
「もう知らない!」
「えぇ!?」
「零のバカ!」
リラがこんな風に怒るのは非常に珍しく、僕が何か逆鱗に触れたんだろうとは思うが、心当たりが全く無い。