【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第28章 苦しみのその先に
安室side
リラの復帰の日がやってきた。
僕が朝起きるとリラはすでに仕事に出掛けていた後だった。
あぁ。今日から朝起きておはようすら言えない日が増えるんだな…
それでもいいと思うはずなのに、少し。いやかなり寂しくもあり、リラが居なくなったベッドの隣を撫でた。
ほんのり、リラの体温がまだ残ってる。
それさえも愛しく思うんだ。
重症だな…
リラのことが好きすぎる自分に呆れながら、僕は身体を起こし、顔を洗って歯を磨く。
今日は一日中家にいてね。
と、リラからよくわからないお願いをされ、言われるがまま今日は一日中家のことをする予定になっている。
そんな中、玄関のインターフォンが鳴った。
ピンポーーン
「?誰だ…?こんなに朝早くから」
まさか、またリラの母?!
それともリラの兄か?!
と、半分トラウマになっているこの朝の突撃訪問に、僕は少しだけ慄きながらもモニターをつけた。
「はい。」
「あ!安室さん!山岸です!」
「え?リラならもう出ましたけど…」
「ちょっと安室さんに用があって…
すみませんが、一階のロビーまで降りてきてくれますか?」
「?はい。今から降ります」
山岸さんからそんな打診をされるのは初めてのことで、僕は頭の中にはてなマークを浮かべながらも自宅を出て、1階のロビーへとエレベーターで降りた。
「山岸さん」
「あぁ、安室さん。
車でちょっとお話が」
「?車なら、家に上がっていただいても良かったのに」
「まあ、いいからいいから。」
そう言って笑いながら、山岸さんは僕の手を駐車場まで引いた。
そして停めてあった車の助手席を開けると、僕は言われるがまま助手席に座った。