【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第28章 苦しみのその先に
また風見か…
ため息を吐きながら、僕は通話ボタンをタップした。
「風見か?まだ何か??」
「零?わたし」
「リラ?!」
今度は風見だと思っていたらまさかのリラ。
しまった…
第一声、ものすごくそっけない声で出てしまった。
「今からおうちに帰るね。
って一応伝えておこうと思って。」
「あ、あぁ。そう。
迎えに行こうか?」
「ううん?山岸さんに送ってもらってるところだから、大丈夫」
「そう。」
「それにしても、零って風見さんの電話に出る時はいつもより声が1オクターブ低いんだね!」
「…リラまでそんなこと言うのか…」
「え?なんか言った?」
「いや?なんでも。
じゃあ、夕食の準備をして待っているから。」
「うん!また後で!」
そう言って電話を切った瞬間、僕は思わず頭を抱えながら声に出して言う。
「恥ずかしすぎる」
こんなのまるで、リラのことが好きすぎるのが声にまで顕著に現れていると言われたようなもんだ。
いや、まあ実際そうなんだけど…
こう客観的に言われると、何とも気恥ずかしいものがあるな…
気を付けよう。
風見からの電話にも、ちゃんと声を高くして出てやるか…
冷静に考えたらバカらしいことを真剣に考えながら、僕はひたすらにリラの帰りを待っていた。