【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第28章 苦しみのその先に
安室side
「…聞かないの?僕の親について」
リラの答えを聞いてみたくて、試すみたいにそう言った。
返ってきたリラの答えは、あまりにもあたたかかった。
「…聞かない。
いつか、零が話したくなったらでいい。
話したくならなかったら、一生話さなくて良いよ」
あぁ。
リラは、きっと僕が何者でも変わらず愛してくれる。
僕の肌や髪が何色でも
僕の職業が何であっても
僕の両親がどんな人でも
きっとそんなこと全部関係なく、ただの僕自身を愛してくれる。
それが、嬉しかったんだ。
この感情に似た感情を覚えたことがある。
あれは、警察学校に入学して、かけがえのない仲間だと言える友人に出会えた時。
あいつらも、僕自身を見てくれた。
外見や、成績の良し悪しなんて関係なく、ただの降谷零を。
そんな、彼らを想う気持ちに愛しさを足すと、リラを想う気持ちに変わる。
「ありがとう。
…大好きだよ…リラ。」
そう伝えると、リラは照れたように笑いながら僕の胸に顔を埋めた。
周りの人なんて、目に入っていない。
世界中に、僕とリラしかいない。
そんな気持ちで今ここに立ってた。