【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第28章 苦しみのその先に
「うちのお母さん、かっこいいでしょ。
できる女って感じで。」
「だな」
そう言って零は、わたしの身体をぎゅっと抱きしめた。
「れ、零?!」
周りの人たちが、チラチラとわたしたちを見てる。
あんまり大胆な行動とって、注目されるとLilaだって気付かれるんだけど…
そう思いながらも零の背中に腕を回すと、零はわたしの耳元で嬉しそうに言った。
「君のお母様に、認めてもらえたってことだよな」
「…?そうだね?」
「親公認ってことでいい?
僕たちの関係」
「うちの親はね??
…零の…」
ご両親は…と言おうとしたけれど、やめた。
わたしが両親のことを語りたくなかったように、もしかしたら零もそうかもしれない。
わたしが話したからって、零にも話してほしいなんて、そんな無粋なこと言えない。
「…聞かないんですか?僕の親について」
零はほんの少し笑いながら、試すように言う。
「…聞かない。
いつか、零が話したくなったらでいい。
話したくならなかったら、一生話さなくて良いよ」
わたしがそう言うと、零はわたしを抱きしめる力をぎゅっと強めた。
「ありがとう。
…大好きだよ…リラ。」
もう。
あまりくっついたらその分注目されて、Lilaだとバレるのに、わたしの方が、今零から離れたくないみたいだ。
ねぇ零。
わたしはもう零に話してないこと、何もないから。
今度は零の話を少しずつ少しずつ聞いていければいいな。
これから零と過ごしていく長い時間の中で、零のことをもっと知っていきたい。
心から、そう思っているよ。