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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第4章 君の近くに




安室side


音楽スタジオって、実は初めて入った。

リラに連れられるがまま中に入ると、プロデューサーらしき人や、スタッフがチラチラ僕の方を見てくる。

そりゃそうか…
男連れでレコーディングにくる歌手はきっとリラぐらいだ。


「安室さんは、ここで待っててね」


そう言ってリラはレコーディングブースに入り、スタッフ達のいるミキシングルームにぽつんと残された僕。


まぁでも、こんな機会滅多にないから、見学しておくのも悪くないな…


そう思っていると、後ろからとんとんと肩を叩かれた。


振り返ると、気が弱そうなひょろっとした男の人が立っている。


「安室さん…ですか?」

「はい?」

「毛利探偵から聞いています。
僕、Lilaのマネージャーの山岸です。」


そう言ってその男は名刺を渡してくる。


あぁ…毛利探偵が僕に護衛するように頼んだのは正解だったかもしれない…

何というか、…今にも折れそうな小枝のような男性だなと第一印象で思った。


「すいません。僕の代わりにマネージャーみたいなことまでやらせてしまって…」

「いえ。毛利探偵の指示ですから」


そう言って笑うと、山岸さんは僕の隣に座った。


ガラス張りになった前からレコーディングブースの中が見える。

リラはベッドフォンを装着して、リップロールやタングトリルをしながら発声練習をしている。


目が、さっきまでと違う。
真剣な表情でマイク前に立つリラを見て、朝、蜘蛛が怖いと言いながら僕に抱きついて、あんな風に顔を赤くしていた子には思えない。

これが、リラからLilaに変わる瞬間なのか。


「はい。"夜に駆ける" 頭から録っていきます」

「お願いします」


ディレクターの声に、リラが頷いた後、イントロが始まった。


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