【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第27章 母と娘
安室side
次の日、僕とリラはRX−7に乗り、リラの義母が参ると言っていた時間に霊園へ到着した。
ちょうどリラの義母がバケツに水を汲んでいるところで、入り口で鉢合わせると、リラの姿を見た義母は驚いたように目を見開いた。
「リラ…来てくれたの?」
「…うん」
そう言いながら、少し気まずそうに目を逸らしたリラ。
義母はそんな彼女の手を握りながら笑った。
「ありがとう。姉さんもきっと喜んでる。
行きましょう」
そう言って義母が手を引いた先には、雨宮家之墓 と書いてある墓石があった。
心中を計画したリラの母は、父と弟が眠る古賀家の墓には入れてもらえなかったようだ。
リラは実母が入っている墓を、その綺麗な横顔でじっと見つめている。
しばらく無言で見つめた後、おもむろに口を開いた。
「父と、弟には未来が合った。
…もちろん、母にも。
どうしてそれを、全部捨てたの?
聞きたくても、もう死んじゃってるからわからない。
永遠にその答えを聞くことはできない。」
そう言うと、リラは繋いだ僕の手をぎゅっと握った。
「…やっぱり、許せないよ。
そんなに父が嫌だったなら、離婚すればよかったのに。
どうして最悪の選択をしたの?
どうして、弟まで道連れにして…っわたしを道連れにしようとして…」
そこまで言うと、リラの目からは涙が溢れ、それ以上言葉にならなかった。
僕はそんなリラの頭を撫でながら、ぎゅっと抱きしめた。
リラの様子を見ていた義母は、悲しそうに笑いながら言った。
「本当は、あなたが成人するときに渡そうと思ってたの。
だけど、あなたもわたしも仕事が忙しくてゆっくり話す時間もなかったから、ずるずる今まで渡せずにいた。
…これを」
そう言って差し出したのは、黒いレザーカバーで覆われた古い手帳
「姉さんの日記帳よ」