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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第27章 母と娘




そう。
あなたまでそんなこと言わないでよ。
と思う涙と、
零に手を取り引いてもらって、ほんの少しだけ嬉しいと思ってしまった涙
両方あったの。

核心を突かれた気がする。
ずっと恨み続けてきた。
実の母親を。

だけど、ふと思ったことがある。
許せたら、どんなに楽だろうと。


「リラが、少しでも前に進めるのなら、僕がずっと隣でこうして抱きしめているから」


零があまりにも優しくて、わたしの凍った心が溶けていく気がした。

本当は、許したいのかもしれない。
だってもう疲れた。
誰かをずっと恨みながら生きるのは。

前に進みたい。だけど、怖い。


「零…一つお願いがある」

「ん?なに?」

「ずっと手を繋いでて…?
お墓参りが終わるまでずっと」


そんな、まるで小さな子供みたいなお願いをしたわたしを、零は優しく頭を撫でてくれた。


「繋いでる。
リラが離してって言っても離さないから」

「ん…ありがとう。
母のお墓参り…行く。
行って、ちゃんと前に進みたい」


そう決断したわたしを、零は力いっぱい抱きしめてくれた。

零がいたから、わたしは自分の心と向き合えた。
零がいたから、歌えなくなっても笑っていられた。
零がいたから、今を生きてる。

零がいなかったら、わたしには何も残ってなかった。



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