【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第27章 母と娘
安室side
この感覚は覚えがある。
自宅リビングが、まるで初めて訪れた場所のようにソワソワするこの感覚。
リラの兄が突然訪ねて来た時と全く同じこの状況。
2回目だというのに慣れるはずもなく、僕はリラの母にお茶を出した後、また何故か正座をして必死で言葉を探している。
そんな中、口を開いたのはリラだった。
「お母さん、何しに来たの?」
まるで、リラ兄が訪ねてきた時と全く同じ質問だ。
急に来るなんて。と少し迷惑そうに言う娘に、リラの母はあっけらかんと答えた。
「仕事で日本に来る用事があったから。
元気にしてるのかなー?と思って!
はい、これお土産」
そう言って手渡された紙袋にはイギリス土産がたくさん入っていて、それ受け取りながら、リラは呆れたように笑って言う。
「元気だよ!
お兄ちゃんもそう言ってたでしょ?」
「いいえ?お兄ちゃん、帰ってくるなり物凄く不機嫌だったのよ?」
「えっ!不機嫌って、なんで?!」
まずい。
リラの兄が不機嫌だった理由は十中八九、僕だ。
隣の部屋でリラの兄が眠っているのを知っていて、ワザとリラを無茶苦茶に抱いたせいだ。
なんとか誤魔化そうと、慌てて会話に入ろうとした僕だけど、その前にリラの母がウインクをしながら言った。
「なーんてね。
本当は、山岸さんがわざわざ連絡くれたのよ。
お休みすることになった経緯もね。
リラのこと、ちょっと無理させすぎたかもしれないって気にしてたわよ?」
「そんな…山岸さんが気にすることじゃないのに」
「まあ、マネージャーなんだし、責任感じるなって言う方が無理じゃない?
……ところで、安室さん?
リラとはどう言ったご関係?」