【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第27章 母と娘
半分寝ぼけてるくせに、ちゃんと的確に僕のツボを突いてくる。
「コラ。リラ?離して?」
「やだ」
「すぐに戻ってくるから」
「…10秒ね。10秒で戻ってきてね?」
そう言ってリラは仕方なく僕から身体を離した。
本当は僕だってリラから離れたくないんだけど、仕方なくリラから解放された身体を起こした。
そして、ワイシャツ一枚羽織って玄関の方へ向かう。
でも、オートロックのはずなのにドア前でインターフォンが鳴ったよな…
お隣さんか?
それとも管理人さん?
こんな朝から訪ねてくる人に心当たりが一切ない。
「はい?どちら様」
不思議に思いながらもそう言い、ガチャリと玄関を開けた先にいたのは、40代ぐらいの女性。
黒いセミロングの艶のある髪を携え、ブラウンのトレンチコートに女優帽を被り、サングラスをしていて、赤いリップを付けている。
誰だ…?
パッと見、ものすごくセレブなマダムに見える。
宅配業者には全く見えない。
かと言って管理人さんでもない。
隣に引っ越してきた人か…?
このマンション、家賃からして結構なお金持ちが住んでそうだしな…
「あの…何か御用ですか?」
恐る恐るその人に聞くと、その女性はサングラスを外しながら言った。