【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第26章 謎に包まれた黒の話 ☆
零は少し安心したように笑うと、わたしの手をとって車までエスコートしてくれる。
「じゃあ、帰ろう」
初めて零と一緒に車に乗ったときも、こんなふうにドアを開けてエスコートしてくれたよね。
あの頃よりも、もうそばにいるのが当たり前みたいになっているのに、変わらずわたしをお姫様扱いしてくれる。
わたしのほうが馬鹿だった。
零のこと、何があっても信じなきゃいけなかったのに。
わたしは逆に零を安心させたくなった。
わたしの気持ちは少しも離れていないよって証明したかった。
助手席に座った後、運転席に零が座ったのを見計らって、わたしはゆっくりと零の顔に自分の顔を近づけた。
そして不意打ちで零の唇を奪った。
キスの後、恥ずかしくて俯いていると零はわたしの髪を撫でながら言う。
「リラ…もう一回、キスしてもいい?」
「…うん。いいよ」
わたしのいいよ。を聞くと、今度は零がわたしの頬を片手で包み込みながら、さっきよりも熱い口付けをくれる。
「んっ…」
ちゅ…
チュ…
何度か啄むようにキスをした後、零は名残惜しそうに言う。
「もう一回したい…」
「ん…」
零のキスはいつも優しいのに、今日はわたしを全身で求めてくれているみたいな、少しだけ強引なキスだった。
ちゅ…っ チュ…
リップ音の合間に、零の吐息がわたしの名前を呼ぶ。
「っ…リラ…」
「んっ…れ…ッん」
くちゅ…と零の舌がわたしの舌を犯す。
どうしてか、いつもよりももっと、零が愛しい。
車の中で、飽きるぐらいキスをしたわたしたちは、顔を見合わせて微笑んだ後、家に向けて車を発進させた。