【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第26章 謎に包まれた黒の話 ☆
安室side
リラが明らかに何か怒ってる。
けれど僕にはまるで見当がつかない。
確かにリラに隠している事、というか言っていない事はまだ色々ある。
例えば、黒の組織の話や僕の生い立ちのこと、どうして警察官になったのか。
他にも数えきれないほどたくさんある。
でも、どれもリラに怒られるような隠し事じゃない。
中にはどうしても守秘義務で言えないこともあるし…
…泊まる約束をしていたなんて言っていたけど、きっと嘘なんだろうな。
リラはどこに行ったんだろう。
ちゃんとタクシーを捕まえられたのか?
沖野ヨーコが家にいなかったらどうするつもりなんだ。
…リラの帰ってくる場所は、僕の腕の中だろ…?
そう思いながら、リビングのソファーに腰を下ろした。
リラがいないと、2人で借りたこの部屋が途端に広く感じる。
寂しさで、はぁ…とため息をついた時、不意にローテーブルの上にリラの手帳が置いてあるのが目についた。
その手帳からあるものがはみ出るように挟まっている。
「なんだ…?」
そう思いながら、その挟まっている紙をスッと引いて、それを見ると、僕はようやくリラが怒ってる理由がわかった。
「そういうことか…」
ベルモットと僕がホテルの部屋に入るところが写真に切り取られている。
これだけ見せられれば、そりゃ誤解するよな…
というか、もしかしたらあの場の一部始終を見られていたとしても、誤解されていたかも。
酔ったベルモットを介抱しながらホテルの部屋に連れて帰ったのは事実だし。
けれど、これでリラを傷付けることになるのら、隠さずに話した方がいいのかもしれない。
僕の仕事の話と、組織の話、ベルモットの話。
とにかくリラと話したい。
リラに会って、誤解を解きたい。
ごめんと謝って、全部ちゃんと話して、リラのことが世界で一番大事だと伝えたい。
そんな思いが無限に湧いてきて、僕はスマホでリラにコールを飛ばした。