第26章 謎に包まれた黒の話　☆

一向に本題に入ろうとしない山岸さんに、痺れを切らしてわたしから話を振った。
引退か、クビか…はたまた女優転向か…

そんな、色々考えてシミュレーションしてきた予想を頭に巡らせていると、山岸さんから予想だにしない言葉が飛び出した。


「Lila…安室さんに、浮気されてるんじゃないか？」

「…は？」


安室さんに浮気されてる？

確かに今そう言った…？

状況が飲み込めず、わたしは笑いながら山岸さんに言った。


「もう！何言ってるの？山岸さん働きすぎなんじゃない？
ちょっと休んだほうがいいよ！
わたしが言うのもなんだけどさ」


そう言って冗談だと笑い飛ばそうとするわたしに、山岸さんは真剣な顔をして続ける。


「昨日彼がベルツリーホテルでプラチナブロンドの美女とバーでいるのを見た。
そのあと、その女性の腰に手を添えながらホテルの部屋に…
言うか迷ったけど…でも、後から傷つくくらいなら伝えようと思って」


山岸さんのその真剣な顔を見ると、とても冗談とか、からかっている風には見えない。