【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第25章 わたしのじゃ無い良い匂い
「わ、わたし!天才!」
山岸さんからもらった暇つぶし道具の中から、今わたしは一人でジェンガで遊んでいる。
一人でどれだけ高く積み上げるか?という寂しい遊びを始めたのだが、以外と崩れずに綺麗なタワーが出来上がってきている。
「よぉーし、もう少し高いタワー作るぞ!」
そう意気込んで、ゆっくりブロックを引き抜き、震える手で一番上に乗せようとしたとき
「ただいま」
突然後ろからかけられた声にびくっっと身体を揺らしたわたしは、手がタワーに接触。
そのままガシャァーンッとわたしの努力の結晶は崩壊した。
「ああぁあ!」
まるでこの世の終わり見たいな絶叫を上げるわたしに、何も悪くない零はすぐさま謝ってくれる。
「ご、ごめん!」
「ううん。わたしが勝手にびっくりしただけだから」
そう言うと、零はわたしの頭をポンポンとなでながら言う。
「帰り、遅くなってすみません。
寂しかったですか?」
「…ん。寂しかった…!」
「素直ですね。おいで?」
零は優しく笑って両手を広げてくれるから、わたしは迷わずその胸に飛び込んだ。
「零ー…」
大好きな、零の腕の中。
さっきまで一人で寂しかった、というか暇だったのに、零の腕の中にいるとそれだけで心が満たされていく気がする。
そんなとき
わたしの鼻がぴく…と動いた。