【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第25章 わたしのじゃ無い良い匂い
まあでも確かに、ある意味狂わせたのかもしれない。
この国とリラ、守るものが二つに増えたわけだから。
そしてリラにとってもそうだ。
僕と付き合っていることで、きっと曲作りにも少なからず影響出ていたと思うし。
もしかしたらリラが歌えなくなったのは、僕のことを好きなったからかもしれない。
なんの根拠もないけど、ふとそう思う時がある。
リラにとって、僕という存在は本当にプラスに働いているのか?と。
「…やめましょ。こんな話、つまらないわ。」
ベルモットとバーボンの間で恋の話が盛り上がるはずもなく、それからはひたすらに組織の今後の動きに関する話をしながら飲み進め、1時間と言いつつも気付けば2時間もバーで酒を飲んでいた。
「もうこんな時間ですね、そろそろ出ましょうか」
「えぇ」
僕にそう言われたベルモットは、立ち上がった瞬間ヨロ…と脚がもつれた。
マティーニを数杯、その後ワインを数杯飲んだ彼女は珍しく酔っているようだ。
「部屋まで送りますよ」
「悪いわね」
ほろ酔い状態でフラつくベルモットの腰を支えながら、世話焼きな僕は部屋まで見送る。