【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第25章 わたしのじゃ無い良い匂い
そんな僕の変化を感じて、先輩が続ける。
「それだけ本気ってことか」
「…結婚したいと思うぐらいです」
「そうか。いいことじゃねえか。
だが、降谷。忘れるなよ。
俺たちにとって、大切なものを増やすと言うことは、それと同時に弱点を増やすと言うことだ。
…くれぐれも、組織には関わらせないようにしろよ?」
「分かっています」
僕が静かに頷くと、先輩もそれ以上何も言わずにその場から立ち去った。
先輩の言う通りだ。
リラな存在が当たり前になりすぎて、リラのことを無意識のうちに匂わせ過ぎている気がする。
ボロを出して、ベルモットやジンにリラの存在を悟られないようにしなければ。
実際に、ヒロがリラの写真を持っていたことで、リラとヒロの関係を疑う素振りもあったし。
万一、前のキュラソーの時のように僕の素性が疑われるようなことがあれば、間違いなくリラも危険に晒すことになる。
リラの作ってくれた弁当を食べながら強く思った。
この味も、温かさも、僕が守っていかなければ。と。