【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第25章 わたしのじゃ無い良い匂い
安室side
警察庁公安部
報告書のまとめが終わり、時計を見るともう正午を過ぎていた。
そういえば腹も減ってきたところで、僕は久しぶりに自分のデスクで昼食を取ることにした。
リラが持たせてくれたお弁当。
人が作った弁当を食べるの、何年ぶりだろう。
そう思いながら保冷バッグを開けると、お弁当箱が2つ入ってる。
両方それぞれ蓋を開けると、一つは色んなふりかけや海苔で彩られたおにぎり。
もう一つは赤黄緑全色ちゃんと入っているおかず。
「これ、作るの大変だっただろうな…」
自分も料理をするから、これを作るのがどれだけ大変かよくわかる。
朝からキッチンで必死にこれを詰めるリラの姿が目に浮かんだ。
「本当に、何に対しても全力投球だから。
僕の彼女は…」
ふっ…と笑みをこぼしながらそう言うと、丁寧に両手を顔の前で合わせ、いただきます。をして弁当に箸をつけた。
「お。降谷、弁当か。
珍しいな」
後ろから声がして振り返ると、公安部の先輩が僕を目を丸くして見てきた。
「ええ。今日はたまたま」
「自分で作ったのか?
お前、料理得意だもんな」
「まさか。…彼女に作ってもらいました」
そう言うと、先輩はまた驚いたように目を見開いた。
「お前、熱でもあるのか?」
「どうしてそうなるんです?」
「いや、だってお前が自分のプライベートな話することなんて、今まで無かったじゃねぇか。」
考えてみればそうだ。
今まで彼女ができたとしても、公安の同僚に言ったことはほとんどない。
あったとすれば、前の彼女を風見に一度会わせたぐらいか…
自分でも気付かないうちに、僕にとってリラな存在が当たり前にそばにいる存在になってきている。