【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第4章 君の近くに
安室side
思えば誰かと朝ランするのは初めてかもしれない。
元彼女のあの子は、どちらかというと寝坊助で朝一緒に走るなんてありえなかったな。
そう思いながら隣を見ると、真剣な顔して走るリラの顔が見えた。
長いピンクブラウンの髪をポニーテールにしていて、ふわふわと揺れている。
芸能人って、髪の先まで計算され尽くしているような気がする。
普通走っていたら、どこか綺麗じゃない部分が見えるはずなのに。
顔も、身体も、髪も、全部完成されたように美しい。
そんな風に、リラの方をじーっと観察していると、僕の視線に気づいたリラが笑いながら言った。
「ランニング、本当は大嫌いなの。」
「大嫌いなのに、毎日走っているんですか?」
「うん。わたし、体力が人より無いから、努力しないとダメなの」
「…ストイックですね」
そうか…大変だな。
大嫌いなことも、仕事のためにやらないといけないのか。
朝のランニングに、食事制限。
努力しているんだろうな、きっと僕には想像もできないぐらい。
「だから、こうやって誰かと走るの、楽しい。」
そう言って笑うリラは、まだすこしあどけない表情をしていた。