【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第24章 この部屋で最後に ☆
ベルモットの宿泊するホテルでベルモットを下ろし、時刻を見ると22時だ。
予定よりも時間を使ってしまったことに気付いた僕は、急いでリラに電話をかけた。
プルルルル…
呼び出し音が何度か鳴ったが、リラが通話ボタンを押すことはなく、しばらくすると留守番電話サービスに接続された。
「出てくれよ…」
そう言いながらまたかけ直してみるが、結果は同じ。
留守番電話サービスへと接続される。
ドクッと僕の心臓が大きく鼓動した。
さっきベルモットから聞いた話を思い出し、スコッチのことからリラの存在が組織にバレたのか?と背筋が凍った。
…いや、さっきベルモットは僕が誤魔化したし、彼女が誰かに話した様子も無かった。
気のせいだ。
きっと引っ越しに疲れて寝ているんだろう。
そう繰り返し、自分のざわつく心臓を抑え込むと、大急ぎでアクセル全開にし、リラが待つ新居へと車を飛ばした。
マンションに到着し、駐車場に車を停めてエントランスを潜ると、オートロックを開け、ロビーを経由して中に入る。
このマンションは、24時間警備員がロビーに待機している。
やっぱり、そんなわけない。
リラが奴らの手に落ちたなど、早とちりもいいとこだ。
上がる息をふぅーっと吐いて、まだ真新しい玄関ドアに鍵をかざして中に入ると、中の電気は全て消えている。
「リラ?ただいま。
寝ているんですか?」
そう言って中に入り、リビングの電気をつけた。