【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第24章 この部屋で最後に ☆
そんな僕をよそに、ベルモットはタバコに火をつけながら続ける。
「昨日暇だったから変装術の練習をと思って、スコッチに変装して街を歩いていたの。
お酒でも飲もうと思って適当に入ったバーのマスターが、スコッチを知っていてね」
「っ…まさかその人を…」
スコッチの知り合いだと判断して殺したのか?
こいつらならやり兼ねないその所業の疑惑を問いただすとベルモットは呆れた顔で言う。
「バカね。知り合いと言っても、2、3度あの店に来て飲んでただけみたいよ?
でも、スコッチが最後に来た夜、その店にこの写真を忘れていったみたいなの。
マスターは捨てようと思ったみたいなんだけど、いつもその写真を見つめて何かを考え込んでいたからよほど大切なものなんだろうと、取っておいたそうよ?
それで、スコッチに変装した私に返してきたってわけ」
「…なるほど?」
物凄い偶然が重なったと言うわけか…
まさかこのタイミングでベルモットがリラの存在に気付くとは…
どうする…
このままだと、ベルモットはリラを探すだろう。
リラは日本では有名人。
幸い今のベルモットは今の日本の芸能界には疎いらしく、リラの写真を見てもLilaだとピンと来ていない様子。
だが時間の問題だ。
どうする…
咄嗟に考え、僕は賭けに出た。
唯一リラを守れるとしたらこれしかない。