【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第24章 この部屋で最後に ☆
ショッピングモールの駐車場に車を停め、運転席に座ったままベルモットを待っていると、助手席が開いた。
「Hi、バーボン。」
「どうも。」
まるで自分の車に乗るみたいに当たり前にRX-7の助手席に腰を下ろしたベルモットに、僕は尋ねた。
「で、確認したいこととは何です?
すみませんが急いでいるので手短にお願いします」
「じゃあ手短に話すわ。」
そう言う僕に彼女が見せてきたものを見て、僕は目を見開いた。
僕の目の前に見せられたのは、リラの写真だった。
おそらく今より数年前、まだリラがアイドルグループにいた時の写真だ。
「これ、誰だか知ってる?」
「…さあ?」
突然のことで頭がうまく回らない僕は、咄嗟に嘘をついた。
内心物凄く焦っていることは、顔には出ていないらしい。
ベルモットはふぅん。と言いながらその写真を下げた。
「そう。」
「…どうしてその女性を?」
「昨日偶然立ち寄ったバーで、面白い話がわかったの。」
「面白い話?」
「ええ。
前に組織にいた裏切り者、知ってるでしょ?
日本の警視庁公安部から潜入していた、スコッチ」
「…スコッチが何か?」
僕の親友で幼馴染の諸伏景光が組織に潜入していた時のコードネーム、スコッチ。
そして彼は、リラの初恋の相手であり、きっとヒロにとってもリラは大切な存在だった。
そんなスコッチの名前とリラの写真が同時に出てきたことに、焦りが倍増する。