【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第24章 この部屋で最後に ☆
新しい家は前の家から車で30分ほどのところだった。
24時間警備員が在中し、オートロック付き、
広さも4LDKと申し分ない。
20代のカップルが同棲するにはどう考えてもトゥーマッチなこの家が、今日からわたしと降谷零のお家になった。
冷静に考えると、もしわたしがこのまま歌声が復活しなくて普通の仕事をすることになれば、この家には住めなくなる気がする。
つくづく、芸能人という職業はお給料をもらいすぎてるんじゃないかなと思ってしまうぐらいだ。
引越し業者の人が次々と荷物を家の中に入れてくれ、あっという間に大きい荷物の搬入が完了した。
ここからが大変だ。
ダンボール一つ一つ開封して、食器や日用品、服飾品やその他それぞれの私物を片付けていかなければいけない。
それに、明日になればわたしの放置していたマンションも引き払って荷物をこっちに持ってくるから、今日中に片付けなければ…
そう思いながらダンボールに手をかけたとき、零がわたしを見て微笑みながら言う。
「大丈夫。2人でやればはやいよ」
「そうだよね!よーし、頑張って片付けるぞー!」
そう意気込んだ瞬間
ピリリリリリ
ピリリリリリ
零のポケットに入っているスマホが鳴った。
「零、電話だよ?」
「ああ…。…ちょっとごめん」
零は着信画面に表示された名前を見ると、少しだけ顔色を変えた後、リビングを立ち去って廊下で電話を受けた。
仕事の電話かな…?
でも、風見さんからのときはわたしの目の前で通話を始めるんだけどな。
と、若干なにか引っかかりながらも、わたしは零が電話をしている間、片付けを進める。