【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第24章 この部屋で最後に ☆
引っ越し業者が到着し、僕たちの荷物が見る見るうちにトラックへと積まれていく。
部屋からはひとつ、またひとつと家具が運び出され、1時間ほどで僕たちが一緒に住んでいた安室透の家は空っぽになった。
「ほんとにさよならなんだね。この部屋と…
さみしいな…」
そう言って感慨に耽るリラは、名残惜しそうに空っぽになった部屋を見つめた。
「そうだな。
だけど、新しい家でも僕が一緒にいることは変わりないだろ?」
肩を抱き寄せ、おでこにキスをして髪を撫でると、リラは僕にぎゅーっと抱きついてきた。
「降谷さんとわたしの二人の家になるもんね」
その一言が何だか可愛く思えて、僕もぎゅーっとリラを抱きしめ返す。
バカップルにも程があるな。
冷静にそう思うのに、抱きしめるのを辞めない僕。
「あの。荷物運び終わったんで、出発しますねー!」
「あっ!はぁいー」
引っ越し業者の容赦のない一言に、ぎゅーぎゅーし合っていたリラは気まずそうに笑いながら返事をした。
引っ越し業者に頼んだ以外の細かい荷物は、手分けして自分達でRX-7に積んだ。
「RXにこんなに荷物乗せてるの初めて見たね」
小さい段ボールや紙袋で埋まった助手席を見て、リラは楽しそうに笑った。
ただの引っ越しなのに、こんなに楽しそうにしてくれるから、僕もつられて笑顔になる。
「じゃあ、出発しようか」
そう言って、僕は数年間暮らした自分の家を後にした。