【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第24章 この部屋で最後に ☆
安室side
次の日
「零!見て!引っ越し日和だね!」
僕のワイシャツを着たリラは、そう言いながらカーテンを開けて微笑んだ。
ベッドの中からそれを眺める僕は、リラが天使に見えた。
大袈裟じゃなく、本当に。
後ろからその天使をぎゅっと抱きしめて捕まえると、リラは幸せそうに笑いながら言う。
「どうしたの?零くん」
「幸せだから」
「うん。わたしもすっごく幸せ!!」
リラのことを好きになったきっかけは間違いなくあの歌声だ。
だけどその歌声を失っても、僕がリラを好きだと言う気持ちは少しも減らなかった。
この先もずっと、リラのことを守っていきたい。
僕の隣で笑っていてくれればそれでいい。
そう思う。
「じゃあ、引っ越し始めようか!」
「ラジャー!」
僕が起き上がりながら言うと、リラは楽しそうに敬礼した。
家具家電などの大きなものと、段ボールに梱包した荷物は全て引っ越し業者が運んでくれる。
時計を見るとあと15分ほどで業者が来る時間だった。
歯を磨いて顔を洗い、服を着替えて身支度を整えていると15分はあっという間に過ぎた。