【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第24章 この部屋で最後に ☆
安室side
引っ越しは明日の朝から。
ここ数日である程度は段ボールに梱包をしたものの、あと少し、荷造りが残っている。
この部屋で過ごす最終日の夜の今、リラと二人で残りの荷造りを進めていた。
「零ー!そこのガムテープ貸して?」
「はい」
リラは受け取ったガムテープを使って楽しそうに荷物を梱包している。
良かった。
あの週刊誌の報道が出て、リラが歌えなくなったあの日はどうなることかと思ったけど、僕とちゃんと、今を生きてくれている。
リラの笑った顔が見られれば、それでいい。
大丈夫。
きっとまたリラのあの尊い歌声が聴ける日が来るはずだ。
そう信じて疑わない。
あらかたの荷造りが終わり、一息ついたときにリラが少し殺風景になった部屋を見渡しながら言った。
「でも、この家も今日で終わりかー。
なんだか、ちょっと寂しいね」
「まぁ、リラと出会った時からずっとここで暮らしてるもんな。」
「うん…特別な場所だよ。
この家で、零との思い出がたくさんできたから」
まあ、たしかにこの部屋が今よりちょっとでも狭かったら、きっと僕たちは2人で暮らすことはなかった。
それに今よりちょっとでも広かったら、1LDKじゃなく、2LDKだったら、リラと距離が縮まることも無かったかもしれない。