【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第24章 この部屋で最後に ☆
零の無類の優しさと包容力に圧倒されながら買い物を終えたわたし達は、車に荷物を詰め込み駐車場を出た。
「それにしても、よかったね。
いい物件見つかって!」
「あぁ。今の家よりも広いし、オートロックもついてセキュアだし、収納スペースも申し分ない。
窓からはベルツリーが見えるし、バルコニーも広い。
…まあ、リラが家賃折半してくれるから住めるような家だけど…」
「当たり前じゃない!
わたし、零に養ってもらいたいわけじゃないんだよ?」
そう言うと、零は複雑そうな顔をしてわたしを見た。
「むしろ本当は養いたいんですが…」
「自立した彼女でいたいの。
…今は、活動休止で収入ゼロだけど、貯金はたんまりあるから!」
「男としてそれは良かったとは言えないな…」
はは…と苦笑いしながらハンドルを握る零。
歌声を失っても、助手席から見えるこの景色は何も変わらない。
それが嬉しかった。
しばらくして、零の運転する車はもうすぐお別れする予定の安室透名義のマンションへと到着した。