【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第23章 The Little Mermaid ☆
すると、零はわたしからゆっくり身体を離し、わたしの両頬を手のひらで包んでまっすぐ瞳の中を覗いた。
そして、微笑んだあと言ってくれた。
「当たり前だろ?」
その瞬間、涙が溢れた。
わたしは、歌しかないと言いながら生きてきたけど本当はずっと探していたのかもしれない。
ただの雨宮リラを必要としてくれる人を。
「零…」
泣きながら、零の身体にまたしがみついた。
零へのこの愛は、どうすればもっと上手く伝えられるだろう。
そう思いながら、わたしは零の唇に自分の唇を重ねた。
一度目は触れるだけ、二度目も角度を変えて。
そして三度目はゆっくりと舌を絡めた。
歌を失ったわたしには、こんな伝え方しか出来ない。
くちゅ… ちゅ…
零の舌を味わうように絡めて、ゆっくりと離すと、わたしたちの間につつ…と糸が引いた。
「…リラ…?」
「零…したい…
わたしに生きてる実感をちょうだい…」
零だけは失いたくない。
1番近くで、零がそばにいることを感じたい。
そんな思いが言葉になって溢れてきた。
零はわたしを優しく抱きしめ、頬にキスをすると、ゆっくりとベッドに押し倒した。
「リラ…ずっとそばにいる。
…約束だ」
そう言って零が差し出した小指に、自分の指を絡めると、そのままゆっくり零がわたしの手に指を絡め、ぎゅっと握りながらキスをした。
そしてまた、だんだんと甘いキスに変わっていく…