【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第23章 The Little Mermaid ☆
「…ごめん。なんか、重すぎるね。こんな話」
「いや…そんな事ないよ」
全部話し終えたわたしを、零は優しく抱きしめてくれた。
歌と同じぐらい大切な人の腕の中。
わたしが、歌声を失ってもこうして息をしているのは、きっと零のおかげだ。
わたしは零の背中に手を回し、ぎゅっと大きな身体を抱きしめ返した。
「わたしには歌しかないから、歌っていないと生きていく術が一瞬でなくなる。
そう思っていたけど…」
怖くて、零の顔を見れないまま
わたしは精一杯の勇気を振り絞って聞いた。
「もしも、このままずっと歌えなくなって、Lilaじゃなくてただの雨宮リラに戻ることになっても、
零のそばにいていい?」
歌えないわたしでも、一緒にいてくれる?
その答えを聞くのが正直怖かった。
きっと今まで付き合ったひとたちなら、その返事はNOだから。
零の事信じてる。
だけどわたしの手はカタカタと震えてくる。