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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第23章 The Little Mermaid ☆




あの事件の起こった日の前日、珍しく家族揃って夕食を食べていた時、席に着くのが少し遅れたわたしは母と口論になった。

母が作った、普段よりも豪華な夕食に手をつける前に、わたしは捨て台詞を吐いて自分の部屋に戻ったの。


「こんな家族、消えちゃえばいいのに」


そう言った瞬間、初めて母にビンタされた。

その日はそれから部屋に篭り、翌日朝起きた時には父も母も仕事に出た後で家にいなくて、弟だけ言葉を交わした。


「僕、今日の遠足楽しみなんだ。
友達がやっとできたから」

「そう?いいねー!楽しんできなよ?」


弟の頭をくしゃくしゃに撫でて、わたしは弟が楽しそうに遠足に出かけるのを見送った。


そして、わたしはランドセルを背負って学校に向かった。

給食が終わり、4時間目の授業を受けている時、校長先生が血相変えて教室に来たの。


「古賀さん!」

「?」

「お父様と、お母様と、弟さんが…
それぞれ救急車で病院に運ばれたって…」


頭が、真っ白になった。


それからみんなのお葬式までの間のことは、正直良く覚えてないんだ。


最初は父の政策に不満を持つ誰かが起こした殺人事件だと言われていたけれど、それぞれに毒を盛って殺したのは実の母親。

それぞれ違う場所に毒を盛って、わざわざ違う場所で死ぬように仕向けた理由は、殺人にしたかったからみたい。
殺人なら母の実家にも保険金が降りるから。


何より許せないのは、弟の遠足のお弁当に毒を入れたこと。
あの子が、楽しそうに遠足に出かける姿が今でも頭に焼き付いてる。

最低の母親だよ。

どうしてわたしだけ、生き残ったと思う?


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