【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第23章 The Little Mermaid ☆
安室side
今日は少し早めに帰宅した。
リラのことが、心配でたまらなかったからだ。
急いで仕事を終わらせて帰ってきたものの、もしかしたらリラは案外普通に仕事していて、遅いのかもしれない。
むしろそうだったら、いいんだけどな…
そうすれば、帰ってきたらすぐにリラを抱きしめてやれる。
リラのことばかりを考えながら、僕は自宅の玄関ドアを開けた。
室内は真っ暗で、シン…とした静寂が返ってくる。
ああ、まだ帰ってないのか。
良かった。
そう思ってLDKの部屋の明かりをパチ…と付けると、バルコニーに面した窓が少し開いてるのが見えた。
不思議に思ってカーテンを捲ると、リラがバルコニーから街の夜景を見下ろしてる。
なんだ…帰ってたのか。
そう思いながら、ガラ…と窓を開けて、僕もバルコニーに出ると、リラはそれに気づいてぴく…と身体を揺らした。
「風邪ひくよ?中に入ろう」
そう声をかける僕だけど、リラは振り返らない。
じっと夜景を見つめたまま、小さくこぼした。
「このまま、消えて無くなりたい」
「…何言って…」
リラから飛び出した言葉に、僕の身体が震えてくる。