【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第22章 風邪引き彼女と過保護な彼氏
すーすーと寝息を立てるその合間に、また寝言がこぼれ落ちる。
「ずっと…一緒がいい…」
そう言うリラの間には、じわ…と涙が浮かんでいた。
僕はリラの手を握り、自分の口元に持っていってリラの指にキスをした。
「あぁ。ずっと、一緒にいよう」
思わずそう返事をするけれど、リラには聞こえているんだろうか。
ずっと一緒
そんな非現実的な言葉を、言うようになったんだな。僕は。
ずっとなんて無い。
永遠なんて無い。
同期4人がそれぞれ殉職した時、痛いほど実感したはずのその真理も、リラとの未来には永遠を願ってしまう。
ふと部屋を見渡すと、リラと一緒に住み始めてから部屋が狭くなった気がする。
もともと一人暮らししていた部屋だから当然と言えば同然だが…
以前はこの部屋は僕にとって、単に寝に帰る場所だったから。
広さも一人用、最低限の家具しか置いてなかった。
リラと一緒に生活し出して、僕は家でくつろぐ時間が増えたこともあり、自然と物が増えて行った気がする。
もう少し広い部屋に引っ越してもいいかもな。
リラ自身のマンションも、荷物を置いてるだけでもうずいぶん帰っていないし。
ここはきっとリラにとっては「安室さんの家」だから、二人の家が欲しい。
リラが思い切りギターを弾けて、ちゃんとオートロックもあって、リラの服を全部綺麗に仕舞えて、二人でずっと一緒にいられる家。
本名の降谷零名義の、僕たちの家を。
思いたったら即行動な僕は、すぐにスマホでマンション情報を調べ、目ぼしい場所をいくつか見つけた。
リラの体調が良くなったら話そうと、そう思いながら。