【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第22章 風邪引き彼女と過保護な彼氏
思わず笑いそうになりながら、零から体温計を受け取った。
今度零が風邪をひいたら、絶対体温測って、休ませるんだから!
そう思いながら、脇に体温計を挟んだ。
しばらくして音が鳴り、表示された体温は38.7℃
そんな簡単に下がるはずもなく、まだがっつり発熱していた。
体温計の表示を見ながら固まるわたしを見て、零がわたしをじっと見ながら改めて聞く。
「何度だった?」
「…37℃」
咄嗟に謎の嘘をついたわたしをまたすぐに見破り、零がわたしの手から体温計を取り上げた。
表示されている体温は38.7℃
やっぱり…と言う風にため息をつき、零はわたしの髪を撫でながら言う。
「まったく…意味のわからない嘘をつかない。」
そう窘められるも、零の声は全然怒っていない。
こんなどうしようもないわたしに、零は冷えピタを貼りながらわたしの髪を撫でた。
「君は頑張りすぎるから。
今日ぐらいちゃんと休んで。」
「ん…ありがと…」
「うん。じゃあ、お粥作ってくるから」
「そう言えば零は?仕事…」
今日は平日だし当然零もお仕事のはずだけど、朝起きてからずっとわたしのお世話をしてくれている。
零は優しく笑いながら言った。
「今日は休みです。偶然」
「え…ほんと?」
「ええ。
今日は一日リラのそばにいる。
だから、安心して眠ってください」
本当?
いつもあんなに忙しくしてるくせに、そんな偶然今日が休みなんてある?
きっと零の優しさから来る嘘なんだろうな。
本当に底抜けに優しいんだから…
せっかく彼がついてくれた優しい嘘に甘え、それ以上何も突っ込まず、わたしは大人しくまた零の匂いがするベッドに潜った。