【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第22章 風邪引き彼女と過保護な彼氏
零はまるで魔法使いか、超能力者みたいだ。
わたしが喉乾燥しちゃうなーと思っていたら、蜂蜜のホットドリンクを用意してくれ、
ちょっとでも熱下がったらギター弾こうっとと思っていたら、ギターを取り上げられた。
そしてPCでメールチェックぐらいなら出来るかなと思っていると、そのPCもきちんと没収。
手にとるようにわたしの考えが読まれているあたり、零が超能力者かわたしが超絶単純かのどちらかだ。
まるで母親みたいにわたしの身体を心配して、
「今日は仕事のことは忘れて、しっかり療養すること。」
なんて言った零はわたしにお粥を作るための材料を調達しにスーパーへ出かけて行った。
母親か…
わたしの母は…
イギリスにいる母の顔を思い出した。
わたしに全く似ていない、母の顔を。
零のお母さんは一体どんな人なんだろう。
零に似て、肌が褐色なんだろうか?
それとも髪は透き通るような金髪なの?
きっと美人なんだろうな…零がすでに美人だもん。
風邪で熱に浮かされた頭で、そんなことを思った。
零のこと、知っていることはすごく増えたけど、まだまだ知らないことも多いな。
わたしだって零に言ってないことたくさんあるけど…
いつか、話せる日が来るのかな。
わたしの、家族の話を…
零の家族の話もしてくれる?
どんなふうに育てられたのかとか、家族との思い出の話とか。
そしていつか、零の家族になれる日が来たら良いな。
ぼやけていく頭でそんなことを考えながら、わたしはゆっくりと目を閉じて眠りに落ちて行った。