【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第22章 風邪引き彼女と過保護な彼氏
僕にとっても、リラの綺麗な歌声は宝物だから、喉を大切にしてもらわないと困る。
「仕事、休めそう?」
「ん…来週にずらしてもらった。
明日は歌番組の収録だから、今日絶対治さなきゃ…」
風邪をひいていると言うのに、まだ仕事のことを考える彼女。
これは僕が一日中見張っていないと、身体起こして仕事しかねないな…
そう思い、僕はベッドルームに立てかけてあったリラのギターとそのそばに置いていたMacbookをリビングに移動させた。
「どうしてギターとPC持ってくの?」
「置いてたら起き上がって弾こうとするだろ?
それに、ベッドでPC開きかねないし。
今日は仕事のことは忘れて、しっかり療養すること。」
「でも、次のライブの衣装案を今日貰うことになってて、確認しないと…」
「だ、め。風邪治すのが最優先。」
「はい…」
少しだけしゅんとしながら、リラは布団を鼻の上まで被った。
その姿が可愛くて、思わず抱きしめたくなる衝動を必死に抑え、僕はリラに尋ねた。
「お粥は味どうする?」
「お粥は糖質だから…」
「リラちゃん?」
そんなこと言ってる場合かと、リラの名前をあえてちゃん付けで呼んで笑顔で無言の圧力をかけると、大人しく自分の好きな味を言うリラ。
「…梅」
「わかった。梅干しがないから今から買いに行ってくる。
くれぐれも、大人しく寝ていてくださいね?!」
「…ハイ」
仕事第一の愛しい彼女に、何度も何度も釘を刺し、僕はスーパーに向かうため自宅を後にした。