【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第21章 君は僕のもの
我ながら、ものすごい忍耐力だと思うよ。
今日、後1時間我慢をすればリラはもうドラマの仕事はやらないと言っていたし。
そんなことを繰り返し唱えて自分の家の鍵を開けて中に入った。
「零!おかえり」
リビングに入ると、リラはソファーの上でストレッチをしながらドラマのOAが始まるのを待っていた。
僕はいつものようにリラが座るソファーに腰掛けると、リラの身体をギュッと抱きしめながら言う。
「やっと最終回だ…」
「うん。今日で最後だよ。」
リラは、こんなふうに拗ねる僕が物珍しいのか、嬉しそうにナデナデと僕の頭を撫でた。
可愛い扱いされるのは癪だと思いながらも、僕はリラを抱きしめたままリラの肩に顎を乗せ、ドラマが始まったのを眺めた。
最終回は卒業式
どうやら、ドラマ版では卒業式でようやくこの主人公たちはカップルになるらしい。
卒業式が終わり、Lilaが夕暮れの教室の自分の席に座り、窓の外を眺めている。
そしてそこに、例の古典教師がやってきて、2人で学校生活の思い出を語り合っているときに、
「俺も、お前のこと好きみたいだ」
その告白の言葉とともに、Lilaの唇にだんだん別の男の唇が近づいてくる。
目を逸らさずに、見なければ。
そう思いながらぐっと目を見開いて画面を見たのに
「…っやっぱり無理だ」
リラのキスシーンの瞬間、僕は目をそらして咄嗟にリラにキスをした。
突然唇を奪われたリラは、驚きながらも僕のキスを受け入れた。
ゆっくりと唇を離してTV画面を見ると、キスシーンはもうとっくに終わっており、エンディングテーマが流れている。
「零…?」
リラは心配そうに僕の顔を覗き込み、僕は観念したようにリラを抱きしめながら本音をこぼす。