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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第21章 君は僕のもの




安室side


時間が経つのは早いもので、第一話が放送されてから3ヶ月後。
いよいよ最終話の放送がやってきた。

今日はリラのキスシーンを見る日だ。
それもあってか、僕は朝からすこぶる機嫌が悪い。


「ふ、降谷さん。」

「何だ」

「これ美味しいですよ?め、召し上がりますか?」

「いらない」


さっきから、なんとか僕の機嫌を取ろうといろんな策を講じてくる風見を、完全塩対応で蹴散らす僕。

風見はしゅんとしながら僕に差し出した少し高級なポッキーを自分の口に運んだ。

冷静になってみると風見には完全にとばっちりだなと思うのだけど、そんなことを気にする余裕はなかった。

不機嫌MAXのまま仕事をこなし、風見に丁重に家まで送り届けてもらったのは夜20時50分。

ドラマの最終回が始まる10分前だった。


「そう言えば、今日Lilaさんのドラマの最終回ですね」

「…」


これは良い話題!と、マンションのエントランス前に車を止めたときに風見が上機嫌に話しかけて来たが、僕がギロッと風見を睨んだことで逆効果だったと悟ったようだ。


「ま、まあ私はヨーコさん一筋なので見ませんが…」


あはあは。と乾いた笑いを繰り出しながら風見は僕が座る助手席のドアの鍵を開けた。

無言でドアを開け、車外に出た僕は


「じゃあ、お疲れ」


それだけ言うと、バタンッと大きな音を立てながらドアを閉めた。
風見が泣きそうな顔して お疲れさまです…と言ったのがかすかに聞こえた気がした。

まあでも、今日で終わりだ。
ここ数ヶ月、毎週毎週僕はリラが他の男とラブシーンを演じるところを一瞬たりとも目を離さずに見てきた。


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