【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第21章 君は僕のもの
わたしは零に抱き枕にされながら大人しくドラマの展開を眺めた。
「…なんか、この先生のキャラ、赤井みたいだ。
ますます気に入らない」
どうやら相手役の役柄が、零の嫌いな人物に似ているらしく、さっきよりも不機嫌そうに口を尖らせた。
「赤井?」
「あぁ。僕がこの世で一番憎い男ですよ。
…まぁ、リラには関わりのない話ですが」
そう言いながら、零はわたしの頬にキスをする。
赤井…
メアリーおばさんの苗字も赤井なんだよね。
これって偶然…?
…偶然か。
と自己完結して特にそれ以上突っ込まず、わたしはまたドラマに目線を移した。
第一話は二人が出会い、わたしが演じる女子生徒が先生に恋に落ちるところで終了。
次回予告ではだんだん二人の距離が近づいていく様子が描かれている。
後ろからわたしを抱っこしている零は、わたしの肩に顎を乗せながら拗ねたように言った。
「あぁ。
これから毎週、リラがほかの男と恋に落ちている様を眺めるのか。
警察学校のどの授業より過酷だよ」
話しているどころか、来週からイチャイチャパート増えるんだけど大丈夫かな…
抱きしめる力が強くなりすぎて、5話ぐらいでわたしの身体が零にへし折られる心配すらしてしまう。
「見るの、やめる?」
このままじゃ自分の身も危険だと感じたわたしは零にそう尋ねた。
零は少し迷ったあと、わたしの首元に顔を埋めながら悩ましい声を出した。
「うーん…いや。見る。
…自分の彼女が芸能人ってことを自覚しないと」
そんなこと言いながらも零は、はぁー…っと長いため息を吐いてまたわたしをぎゅっと抱きしめた。
最終回まで、大丈夫かな…
そう思いながらも、わたしは零の頭をよしよしと撫でては愛しいなと思う。
それをひたすら繰り返していた。