【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第21章 君は僕のもの
そのことを思い出していると、キスの合間にリラが小さく笑った。
「ふ…」
「?どうした?」
なにか変なことをしたのか?と心配になった僕は、思わずキスをするのをやめてリラの顔を覗き込んだ。
リラは幸せそうに笑って言う。
「零の彼女になって、一緒にこの家に戻ってきたときもこんなふうに玄関でたくさんキスしたよね」
今、僕が思い出していたことをリラも思い出していたみたいだ。
僕たちは、こういうことが結構ある。
二人して、同じことを思い出しているひとときが。
以心伝心しているんだろうか。
そう思うと嬉しくてリラの身体をギュッと抱きしめた。
「キリないな。これじゃあ」
「ふふ。それも言ってたよ。あのとき」
そう言って可愛く笑うリラの目を真剣に見つめながら、僕は口を開いた。
「あの頃は、僕の本名もまだ伝えていなかったのに、
今はもうリラがいないと駄目みたいだ。
リラのことを僕のものだって思いたくて仕方ない」
「零…」
「好きだよ。リラ。
大好きだ…」
ありったけの気持ちを言葉にして伝えた後、
リラがなにか返事をしようとするのを遮るようにしてまた唇を重ねた。
そして何度も何度も、キスの回数で気持ちが伝わればいいのにと思うぐらい、
100回のキスをリラに捧げた。