【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第3章 金髪のボディーガード
安室side
「…好きなんだね。今も」
そう言われ、僕は思わず頷いた。
否定することもできた。と言うより、否定すべきだった。
彼女のことを、もう何とも思っていないふりをしなければいけないのだから。
けれど、リラに真っ直ぐな目で問われると、うまく嘘が付けなかった。
僕らしくもないな…
風呂から上がり、髪をタオルで拭きながらリビングに戻ると、リラはギターを鳴らしながら楽譜を埋めていた。
〜♪〜
1フレーズずつ、口ずさみながらギターをぽろぽろと鳴らしている姿に、思わず目が釘付けになった。
「…あ。ごめんなさい。うるさかった?」
「いいえ?…曲作りですか?」
「うん。もうね、全然浮かばないの」
そう言ってリラは書きかけだった楽譜をぐしゃぐしゃに丸めた。
「ヒット曲を連発しているみたいだから、メロディが勝手に降りてくるものだと思っていましたよ」
「そうだったら、こんなに苦労しないんだけどなあ」
そう言ってリラは困ったように笑う。
きっと、色々抱えているものがあるんだろう。
僕には到底理解できない、有名人としての重圧とか。
「あ。そうだ。
あの、安室さん欲しいものって何かあります?」
「欲しいもの?」
「うん。1ヶ月もこの家にお世話になるだけじゃなくて、送迎とか…マネージャーみたいなこともやらせちゃうことになって…
お礼というか、お詫びに何かプレゼントしたくて。
金額は、気にしなくて大丈夫なので、なんでも好きなもの言ってください」
そう言うリラに、僕の口から無意識に欲しいものが溢れた。