【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第19章 愛しい味 ☆
しばらくすると、ガチャガチャッと玄関が開く音がして、わたしは思わず時計を見た。
時刻は深夜1時。
「うそ!もうこんな時間!?」
と驚いていると、零がベッドルームに近づいてくる音が聞こえ、わたしは大慌てで読んでいた漫画を紙袋に戻し、見つからないようクローゼットに突っ込んだ。
「リラ?あれ、まだ起きてたんだ」
「お!おかえり!」
「ただいま。充電させて?」
零はそう言いながらわたしの手を引き、腕の中に抱きしめた。
そして、ふぅーっと今日1日の疲れを吐き出すかのように、長いため息を吐いた。
なんだか、かなり疲れてるみたい。
今日は、そういうのナシで寝るのかな…
零が疲れてるなら仕方ないよね?
零の身体を抱きしめ返しながらそう思っていると、零はわたしの頬にキスをしながら言う。
「起きていてくれて、ありがとう。
でもほら、もう遅いから寝な?
おやすみ」
きっと零は、わたしが無理して起きて待っていたと思ったんだろう。
わたしの髪を撫で、まるで子供に言うみたいに笑いかける零。
こんな風に零の方がいつも余裕があって、わたしのことをリードしてくれてるけれど、わたしだって、零のことドキドキさせたい。
そう思いながら、わたしは零の袖をきゅっと引っ張った。
「リラ?」
首を傾げてわたしを覗き込む零に、わたしは精一杯勇気を振り絞って言った。
「したい…から、起きて待ってたの」
「え…」
「エッチしたい。…だめ?」
途端に恥ずかしくなってきて、顔を熱くしてパッと目を逸らすと、零はわたしをぎゅっと抱きしめて耳元で囁いた。
「シャワー浴びてくるから、ベッドで待っていてください」
その声が、妙に低くてセクシーでわたしは思わずドキッと胸を鳴らした。
そして、零が優しく微笑みながらぽんぽんと髪を撫でると、またきゅんと心臓が高鳴る。
危ない…
今日はわたしが積極的に行くと決めているのに、つい零にたくさんして欲しいと思ってしまう。
今日はわたしの番…
今日はわたしの番…
何度も心の中でそう唱えながらベッドで零が来るのを待っていた。