【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第19章 愛しい味 ☆
そんな絶賛浮かれ中のわたしにヨーコちゃんが感慨深い様子で微笑みながらわたしを見た。
「そっかぁ…!
この間までしたことないって言ってたリラさんも、あんなことやこんなことしてあげちゃってるんですねぇ」
「あんなことやこんなこと…?」
あんなことやこんなことを、「される」ことはあっても、「してあげる」とは??
わたしが全くピンと来ていないことに驚きながら、ヨーコちゃんは恐る恐る訪ねた。
「まさか…してもらうばかりで、自分からしてあげてないんですか?」
「うん…?してあげる…?」
どうやら、ヨーコちゃんの口ぶりからすると、「してあげる」のは当然のことのようだ。
だけど、わたしには何も思い当たる節がない。
業を煮やしたヨーコちゃんはわたしの手をぎゅっと握りながら勢いよくわたしにプレゼンを始める。
「ダメですよリラさん!
男は釣った魚には餌はやらないっていうじゃないですか!
こっちから色んな手を使って相手をメロメロにしないと!」
「い、色んな手??
メロメロ??」
「肌メンテ終わったら、わたしの家でお茶しましょ!
貸したいものがあります!」
「は、ハイ…」
ヨーコちゃんの尋常ではない勢いに圧倒され、いつものヨーコちゃんじゃない…と少し慄きながらもわたしは首を縦に振った。
まさかあのアイドル沖野ヨーコからあんなものを渡されることになるとはこの時のわたしは予想だにしなかった。