【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第3章 金髪のボディーガード
全然散らかってないじゃない。
それどころか、何かいい匂いする…
って待って。
「ここ、もしかして1LDK?!」
「そうですよ。一人暮らしですから」
嘘でしょ!?
てっきり部屋が二つあるものだと思ってたのに!
「ベッドもセミダブルが一つなので、一緒に寝ないといけませんね?」
「えええっ!?」
わたしが慌てて後退りしたのを見て、安室さんは楽しそうに笑う。
「ふ…あはは。冗談ですよ。
僕はソファーで寝るので、ベッドは使ってください」
か、からかわれた…
でも、さすがに家主をこれから1ヶ月間毎日ソファーで寝させるのは申し訳ない気が…
「わたしがソファーで寝るので…」
「僕もソファーで寝ますよ?
一緒に寝るんですか?」
「…ベッド使わせていただきます…」
「あははは。分かればよろしい」
そう言いながら安室さんはわたしの頭をぽんぽんと撫でた。
なんか、調子狂う。
わたしから何もしてあげてないのに、こんなに優しくされることなんて慣れてない。
これまで、いつも人の優しさには裏があったもの。
身体目当てだったり、わたしの知名度目当てだったり。
優しさをもらうには、何か代償を払わないといけないと思ってきたわたしにとって、安室さんは物珍しく映った。
「あ、あの。着替えとか仕舞う場所あったりします…?」
そう言うと、安室さんはちょっと待って。と言った後、クローゼットの衣装ケースの一番下の段を開けた。
そして、そこを見て少しだけ切ない顔をした後
「ここを使ってください」
そう言った。
その顔が何となく気になったけど、わたしは特に深く突っ込む事もなく、大人しく指定された場所に自分の着替えを入れた。