【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第17章 似てない家族 ☆
翌日 朝
「ん…」
朝の光が目に入り、朧げに目を覚ました。
わたしの身体は零に後ろからがっしりホールドされたままだ。
寝相良いって感心すべきなのか…
と、まるで抱き枕みたいにわたしの身体を抱きしめて眠る零の腕をつん…とつついてみた。
「ん…」
零は吐息を漏らしながら、わたしの髪に鼻を埋める。
「…零さーん」
小声で零の名前を呼んでみると、わたしの身体の前で握られていた零の手が、ゆっくりとわたしの頭を撫でた。
「リラ…」
「起きた?」
「…ん。おはよう」
そう言ってわたしの頬にキスをすると、零はゆっくり抱きしめていた腕を解き、わたしを零の正面に向かせた。
「寝苦しかった?」
「いつもこうやって寝てるじゃない」
そう言って笑うと、零もふんわりと笑ってわたしの唇にキスをする。
そしてまたぎゅーっと力強く抱きしめながら零はわたしの髪に顔を埋めた。
「好きだよ」
「わたしだって…」
その時
「お前ら、俺がいることを忘れているだろ」
ベッドルームの扉の方から昨日と全く同じ言葉が聞こえ、わたしは慌てて身体を起こした。
声のした方を見ると、お兄ちゃんが腕組みをしながらこちらを怪訝そうな顔をして睨んでた。
「お!お兄ちゃん!」
「俺、あと30分で出るから。」
「え!もう帰るの?」
時計を見るとまだ早朝。
思った以上に早い兄の帰国にわたしは思わず声を上げた。
「帰って欲しいんじゃなかったのか?」
「帰って欲しいけど…お見送りするよ!
空港まで!」
「お前仕事は?」
「今日は夕方から深夜にかけて。
用意するからちょっと待ってて」
そう言ってベッドから出ると、零も同じように起きあがる。
「車で、空港まで送りますよ」
「ほんと?ありがとう!」
そんなわたしたちのやりとりを、お兄ちゃんはじっと見てた。