【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第17章 似てない家族 ☆
なのに、彼から出た言葉は僕の期待を軽く裏切ってくる。
「好きだよ。」
いとも簡単に、答えを提示する。
「好きだよ、リラが。
妹としてではなく、女として」
「…リラは…知ってるんですか?」
「いや?今まで一度も言ったことはない。
伝えるか?リラに。
俺がそんなことを言っていたと」
余裕の笑みを浮かべてそう言う兄。
神様は、どうにかして僕と赤井を対決させたがっているらしい。
赤井秀一と好きな女のことを取り合って敗れた僕に、やっと出来た最愛の恋人、リラ。
そんな恋人には赤井そっくりの兄がいて、さらに血は繋がっておらずそれどころか兄はリラを女として好きだと言う。
こんな運命の悪戯あるか??
僕は、少しだけ狼狽えている頭の中を悟られないよう、いつものポーカーフェイスで笑いながらお兄さんに言った。
「残念ですが、リラは僕の恋人です。
誰にも渡すつもりはありません」
そんな僕の宣戦布告に対し、兄はフッと不敵に笑うと言い返してきた。
「俺は、あいつと何年家族をやってきたと思う?
リラを一番分かっているのは、兄である俺だ」
確かに、僕はリラと出会って1年も経ってない。
きっと、リラとこの兄が過ごした時間に比べると、短くて心許ない絆だ。
けれど、リラは僕に好きだと言ってくれる。
信じて身体を預けてくれる。
寄り添って、一緒にいたいと思ってくれている。
その事実が、僕がこの人に負けないと言う強い根拠なんだ。
「残念ですが、リラの恋人は僕だ。
リラは絶対に渡しません。
誰にも。もちろん、あなたにも」
そう言い残し、簡単にシャワーを済ませると僕は浴室を出た。