【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第17章 似てない家族 ☆
そんな対抗心で裸になり、一緒の湯船に浸かった瞬間、即冷静になって思う。
「どうしてこんなことに…」
よく考えたら、リラとすら一緒に風呂に入ったことないのに、どうしてその前にリラの兄と裸の付き合いをしなくちゃいけないんだ。
それは相手も同じ考えなようで、不機嫌そうに眉を顰めて僕から目を逸らした。
黒いオーラがびんびん飛んでいる。
「…お兄さんは、リラのこと本当に大事に思ってるんですねぇ」
なんて、半分イヤミみたいな言い方をして彼を見た。
「大事な、妹だからな…」
「けど、どうも妹に向けるそれとは違う風に見えることが何度かあったんですが。
僕の見間違いですか?」
少し核心を突いた質問をしてみた。
まるで、容疑者を取り調べる時の緊張感に少しだけ似ている気がする。
兄は目を逸らして少し考えた後、今度は僕を真っ直ぐ瞳に捉えて言った。
「…見間違いじゃない。」
「え…?」
間違いじゃない…ということは…
その先は何となく想像がついていた。
「なんだ、これも話していないのか、あいつ」
正直、今日朝この兄を初めて見た時から、そんな気がしていた。
似てないし、歳も随分離れているし、何よりお兄さんがリラを見る目は妹を見る目じゃ無い。
「俺とリラは、血が繋がっていない。
血縁関係は無いんだ」
つまり、本当の兄妹ではないということ。
「…リラのこと、どう思っているんです?」
あくまで、大事な妹だ。
そんな答えを無意識に待っていた気がする。