【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第3章 金髪のボディーガード
事務所移籍しようかな…なんて、今しなくても良い心配が新たに増えたところで
安室さんが車を取って戻ってきた。
「お待たせしました」
「お!来たな。じゃあ俺たちはこれで。
そうだな。とりあえず1ヶ月様子を見てみよう。
また状況伺いに連絡します」
そう言って、毛利探偵と蘭さん、コナンくんは、ひらひらと手を振りながらわたしと安室さんをぽつんと残して家路についた。
「…えっと…」
「とりあえず、車まで行きましょうか」
そう言いながら、安室さんはわたしが持っていたボストンバッグをひょいっと持ち上げた。
「あ…自分で持ちます」
「ダメです」
そう言って安室さんはわたしにボストンバッグを持たせてくれない。
…今まで付き合ったひとは、わたしの荷物なんて一度も持ってくれなかった。
重いものを持っていても、気にせずに前を歩くような人が多かった。
そして駐車場に着くと、安室さんが助手席のドアを開けて待っていてくれた。
日本人なのに、紳士なことをさらっとやってのけるんだ。
こんな風に助手席のドアを開けてもらうのも、初めてかもしれない。
「…おじゃまします」
遠慮がちにそう言いながら車内に腰を掛けた。
車の中が、安室さんの匂いでいっぱいだ。
車の内装が妙におしゃれでかっこよくて、ほーっと見渡していると運転席に座った安室さんが助手席の目の前にあるグローブボックスの中から何かを取り出そうと、こちらに身体を傾けてきた。
不意に、安室さんの髪の香りがふわっと鼻に香った。
い…いい匂い…
男の人なのに…
またドクンドクンと心臓がうるさい。
どうしたのわたし…
なんか今日はわたしらしくない。
「じゃあ、行きますか」
安室さんはそう言って、キーを回すとサイドブレーキを掛け、ハンドルを片手で回しながら綺麗に駐車スペースから車を出すと、安室さんの家に向かって出発した。