【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第17章 似てない家族 ☆
安室side
僕の住み慣れたリビングが、今この時間はまるで初めて来る場所のようにソワソワとしている自分がいる。
最愛の彼女と、僕の一番憎い男にそっくりな彼女のお兄様、そして僕
どういう状況だよ…
せめてただの兄ならまだしも、なぜ赤井にうり二つなんだ…
心の中は完全に混乱している。
いろんな感情を必死で押さえながら、僕は恐る恐るリラの顔を見た。
リラは可愛い顔で自分の兄をじろ…と睨みながら、いつもより少し低い声で言った。
「お兄ちゃん、何しに来たの?」
「母さんがリラが心配だから顔見てこいって言うから来たんだよ。
ちょうど日本便のフライトだったからな」
そう言いながら、お兄様はリラの頭をぽんぽんと撫でた。
ただの兄弟のはずなのに、その行為に僕は無意識にムカッとする。
赤井に似ているからなのか…
それとも…
リラはため息を付きながら落胆の声を上げた。
「もー!子供じゃないんだから…」
「お前が突然、引っ越しはしていないけど住む場所を変えた。なんて、意味深な連絡を母さんにしたからだよ。
…まあ、どう考えてもこういうことだろうなとは思っていたが」
そう言ってお兄様がちらっと僕の顔を見る。
心無しか、敵意を向けられているような気がした。
妹溺愛しすぎじゃないか…このお兄様…
そんな風にハラハラしながら謎に正座をしていると、リラが僕の腕をぎゅっと掴みながら言う。
「安室さんっていうの。わたしの彼氏」
リラがふふっと笑いながらそう言った次の瞬間、お兄様が僕をギロッと睨んだ。
こっわ…
「ど、どうも…安室と申します」
得意の営業スマイルで挨拶すると兄からの厳しい取り調べが始まる。