【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第16章 愛が重い ☆
撮影は予定通り22時ごろに終了。
安室さんの話とやらを聞くために、撮影終わりの飲みを断ってわたしは一目散に自宅に帰ってきた。
自宅って言うか、安室さんの家なんだけど。
…彼氏の家?
「っふふ!やだぁ!」
一人でマンションのエレベーターに乗りながらニヤニヤする様子は、よほど売れっ子ミュージシャンには見えない。
安室さんと付き合い始めてから、クールキャラが完全に崩壊しているのを自覚している。
今も、わたしは上機嫌に玄関ドアを開けた。
安室さんに会えるのが嬉し過ぎて。
「ただいまー!」
そう言いながら元気よくLDKのドアを開けるや否や、わたしは目の前に広がった光景に思わず目を擦る。
「なっ!なにこれ!!」
見るとわたしが表紙を担当したananが、部屋のローテーブルの上にまるでピラミッドのように積み上げられている。
数は目でカウントする限り、200冊は余裕で超えているように見える。
ど、どういうこと!?
ここは、安室さんの家だよね?!
本屋の倉庫じゃないよね!!?
意味のわからないこの状況に混乱していると、雑誌で出来たピラミッドの向こう側から安室さんの声がする。
「おかえり。」
顔を見なくてもわかる。
おかえりの声が、なんだかものすごーく怒っている声だ。
ピラミッドの向こうから、黒いオーラがモヤモヤと見える気がしてわたしは思わず目を擦った。
「あ、あの…零さん?
これは一体…」
思わず彼の本名をさん付けで呼びながら、恐る恐るピラミッドの向こう側に行くと、零がにこりと笑いながら言う。
「こっちが聞きたいぐらいですよ?
これは一体なんですか?」
と、表紙を飾るわたしを改めて見せてくる零。